2011年12月25日

テキベンも知らない 能天気ボランティア 




 
    かなりむかしの話になるけれど、
    ボランティアの入門講座を、
    受講したことがある。
    
    そこで、もっもと印象的だったのは、
    大半の人が、
    「ボランティア活動は、楽しくやりたい」と、
    感想を述べていたことである。
    
    
    ぼくは、内心でムッとした。
    
    これには、
    全国社会福祉協議会にも、責任がある。
    
    なぜなら、
    全国社会福祉協議会では、
    「できることを できるときに 楽しく」
    というスローガンで、
    ボランティア活動の普及キャンペーンをしていたからだ。
    
    ちなみに、オレ的なスローガンは、
    「できないことでも できないときでも 楽しくなくても」
    である。
    
    
    ボランティア活動にもいろいろあって、
    海岸の清掃、
    イベントのスタッフ、
    観光地のガイド
    視覚障害のある人の付き添い、
    ひとり暮らしの高齢者への給食、
    その他もろもろだが、
    たとえば、
    高齢者や障害者の生活支援として、
    テキベンというような行為だって、ありうる。
    
    テキベンというのは、漢字にすると、
    摘便になるのかな。
    ようするに、
    自力で排便ができない人の排便を助けて、
    穴に手を入れて、便をひっぱりだすものだ。
    
    これは、
    専門の指導員や看護師以外が担当することは、
    まずないけれど、
    24時間介護の場合には、
    「シモの世話」だって、やらなければならない。
    
    これが、楽しいか。
    必要なことだけれど、
    いくら慣れていても、
    楽しいものではない・・・はずだ。
    
    食事の介助だって、
    自力では、なかなか飲み込めない人だっている。
    これは、ぼくも、
    特別擁護老人ホームの体験学習のときに、
    実際に経験しているけれど、
    一口入れたら、すぐにお茶を飲ませたりすることもあるし、
    現場の指導員からは、
    「どんどん食物を押し込んでください」
    などと言われた。
    
    「わたしはもう、死にたいんです」と、
    話しかけられたこともある。
    
    
    こうしたことが、楽しいか。
    けっして楽しくはない。
    しかし、やらなければならないのだ。
    
    
    ボランティア活動は、
    ほんとうにいろいろあるけれど、
    人のいのちを守っていく活動は、
    生半可の心構えでは、とてもできない。
    
    「できることを できるときに たのしく」などと、
    能天気なことは、言っていられないのだ。
    
    
    
    
   
  

Posted by kimpitt at 16:47Comments(0)