2014年06月05日

万歳 !!! サウダーヂ  これが 日本の どん詰まり




 
    ようやく見る機会をえました。

    
    インディーズもインディーズ!
    超インディーズ作品!
    知る人ぞ知る、富田克也の2011年作品、
    「サウダーヂ」!

ム    
    
    山梨県甲府市。
    何の変哲もなく、人通りもまばらな中心街は、
    シャッター通りと化していた。
 
ム   
    不況の土木建築業には、
    日系ブラジル人やタイ人をはじめとする
    様々な外国人労働者たちがいた。
 
   
    ヒップホップグループ「アーミービレッジ」の猛(田我流)は、
    派遣の土方として働き始める。

    
    自己破産した両親はパチンコに逃避、家庭は崩壊。
    弟は精神を病んでいた。

    
    猛の働く建設現場にも、多くの移民たちがいた。
    そこで、土方一筋に生きて来た精司(鷹野毅)や、
    タイ帰りの保坂(伊藤仁)と出会う。

    
    彼らとともに、仕事帰りにタイパブに繰り出す猛。
    タイ人ホステスのミャオ(ディーチャイ・パウイーナ)に会って、
    楽しそうな精司や、
    盛り上がる保坂に違和感を覚え、外国人を敵視する。

    
    精司は、妻の恵子(工藤千枝)が、
    怪しげな商売に手を出し始めたことで、
    ますますミャオにのめりこみ、
    すべてを捨てて彼女とタイで暮らす事を夢想しはじめる。

    
    
    じつは、この監督・富田克也には、
    「国道20号線」という前作があるのだが、
    これは、DVD化されていない。

    
    で、この富田克也は、1972年生まれ。
    東海大甲府高校を卒業し、
    音楽で生きようと上京したが、出口も入口もみつからず、
    いつしか映画の自主制作へ。

    
    じつは彼、
    若き日の高倉 健に似たイケメンなのです。
    とても、ど田舎甲府の育ちには、
    見えません。

    
    
    そこで、「国道20号線」をひっさげて、
    東京の配給会社に相談したのですが、
    「こんなもの、客から金取って見せるシロモノではない」
    と、突き返されてしまいました。

    
    
    たしかに、たしかに、
    配給会社の言うことは正しくて、
    とても金を払って見せる域には達していない作品。

    
    逆に言えば、
    だからこそ、めたくそ面白いのですが。
    爆笑。

    
    
    で、さる人に言わせると、
    「しいて言えば、暗く行き詰まった街として、
    函館を舞台に描かれた群像劇〔海炭市叙景〕に、
    タッチが似ているかもしれません。
    もちろん映画としてのあらゆる方法論は違っているのですが、
    なんとなく文学の匂いがするというか・・・。
    ハードボイルド感もあれば、
    アウトロー感というか諦め感もあって」

    
    あ、あああああああああああああっ。
    〔海炭市叙景〕?
    チャンドラー?
    ブコウスキー?

    
    当たらずではなく、大はずれでもあり、
    これらが、もし大学生的作品だとしたら、
    富田の作品は、生後2カ月の幼児の作品くらい。

    
    でもねえ、


    このようなザラザラ感でなければ、
    地方都市の疲弊や、
    建設現場で働く在日外国人のいまは、
    描けない・・・というより、
    これが最適の表現方法なのかもしれない。
    

    
    タイトルの「サウダージ(saudade)」とは、
    「懐かしさ」
    「郷愁」
    「もう戻る事の出来ない、悩みもなく楽しかった幼き日々への想い」
    という意味らしいが、
    その意味を知ると、
    ジーンと来る人もいるだろう。

    
    
    では、最後に、
    インタビューで口にしていた富田語録を。
    

    「土木工事、掘って掘って掘りまくれ、ブラジルまで!」
    「人と人の衝突で生まれるエモーションや出来事は、
    けっして物語的推進力は産まないのです。
    淡々と、湧き出るカサブタのようなものが積み上がっていくだけ」
    「希望も絶望も、風が吹きゃ飛んでくし、
    雨が降りゃ地面に染み込んでいくんです。
    未来なんかありゃしないんです!
    「いろいろなニュースを見るたびに、
    日常レベルでは気付かない瓦解寸前に、
    今の我々はいるのではないかと思うんです。
    なにか恐ろしい急落が、
    僕らの背後に忍び寄っているんじゃないかと」
    「それらは日々の細々した出来事や感情に紛れて、
    見えにくくなっているし、見たくない」
    「物語は、終末に向かって加速度的に、
    〔どん詰まり感〕を強めていくのです」
    



    
    
    




Posted by kimpitt at 18:21│Comments(0)
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