2012年11月16日

「終の信託」  いまごろ shall  we dance ?

 
    
    ラジオの新作映画評で取り上げるために、
    見ることになった。
    ふふふ、言い訳めいていて、ごめん。
    でも、そういう目的がなかったら、見なかっただろう。
    ただたんに、それは、
    ぼくの好みじゃないということから・・・です。

    
    周坊正行監督作品
    「終の信託」
    延命治療と尊厳死の問題に鋭く切り込もうとした、
    問題作。

    
    英文の題名としては、
    「SHALL WE MURDER?」
    ま、まさか・・・ねっ。

    
    
    重篤な喘息患者と女性医師の、
    「いのちの闘い」の物語であり、
    プラットニックな恋物語でもある。

    
    しかし、
    役所広司と草刈民代扮する患者と医師は、
    けっして高潔な精神の持ち主なんかではない。
    役所は、妻子がありながら、
    主治医の女性に恋をしてしまうし、
    主治医の彼女は、
    同僚の男性医師と不倫?関係にあって、捨てられ、
    自殺未遂を経験している。

    
    
    つまり、「終の信託」が、
    美男美女のきれいごとの嘘っぽい美談などではなく、
    弱さも醜さも抱えた生身の人間の、
    生と死にかかわるドラマであることは、
    じつに素晴らしい。

    
    そして、
    前半は、名優役所広司の、
    そしてい後半は、監督の妻でもある草刈民代の、
    熱演に見とれていい映画でもある。

    
    役所は、たしかに演技がすごい。
    草刈も、迫真の演技を見せる。
    

    
    しかし。
    尊厳死を認知してもらうための条件に、
    2人とも無知・無神経であったということは、
    あまりにも不自然で空々しい設定であり、
    ようするに、
    話を尊厳死裁判へもっていくためのご都合主義である。
    そのことに気づくと、
    にわかに感動は冷えてしまうのだ。

    
    
    SHALL WE DANCE?
    
    
    



Posted by kimpitt at 21:50│Comments(0)
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