2012年11月02日
不屈の反抗精神が匂う 「俺の笛を聴け」
「風の歌を聴け」ではない。
「俺の笛を聴け」・・・・・
ベルリン国際映画祭で注目され、
銀熊賞(審査員グランプリ)を獲得した、
ルーマニア映画(2010年/94分)
監督は、1975年生まれのフローリン・サーバン。
英文の原題名は、
「IF I WANT TO WHISTLE、
I WHISTLE.」
「俺は 吹きたいときに口笛を吹く」
うーん、いいセンスだ。
言外に、「なにか文句あるのか」
という不屈の反抗精神が匂う。
静岡で上映された「3大映画祭週間2012」では、
合計8本の作品が上映され、
ぼくは、すべて見てしまったのだが、
一番気に入ったのは、この「俺の笛を聴け」だ。
しかし、タイトルは、
「俺の口笛を聴け」にして欲しかった。
少年院の模範生シルヴィウは、
あと1週間余で、刑期が明ける。
そんな折り、
幼い弟が面会にやって来る。
「あとすこしで家へ戻るのに、どうしたんだ?」
「母さんが、戻ってきた・・・」
わが子を路頭に迷わせ、男のもとに走った女である。
その彼女は、いまイタリーで働いているのだが、
弟を連れていきたいと言っているらしい。
シルヴィウ少年は、母親を少年院に呼びつけ、
「また男に捨てられて寂しくなったのか、この売春婦め!」
と、罵る。
そして怒り狂ったシルヴィウは、
出所準備を手伝いに来た若い女性ソーシャルワーカーを人質にして、
反乱を試み、出所を棒にふってしまうのだった。
話は、ただそれだけの作品なのだが、
台詞が少なく、全編簡潔な描写のなかに、
硬質な感性が充満していて、
見る者をぐいぐい引き込んでいく。
さすが、銀熊賞!
見終わってから調べてみたら、
「影響をうけた人は誰か?」という質問に、
監督フローリン・サーバンは、
「ブレッソンとアルモドバル」
と答えている。
ヒューーーーーーヒューーーーーーーーッ!!
この組み合わせもユニークだが、
「俺の笛を聴け」には、
ブレッソンの影響が随所に滲んでいるのだ。
うん、納得。
「IF I WANT TO WHISTLE、
I WHISTLE.」は、
ぼくの生きるポリシーに酷似してもいる。
なにか文句、ありますか?
Posted by kimpitt at 17:32│Comments(0)