2012年07月21日

〇〇〇〇は嫌だと 泣いた女




 
    山下敦弘監督の「苦役列車」には、
    もうひとつ書き忘れてしまった、
    忘れられないシーンがある。

    
    佳作というと、かなり過少評価で、
    秀作というと、甘すぎる評価になる「苦役列車」は、
    近ごろ珍しく、
    好きな作品、愛すべき作品・・・と、
    あえて言いたい映画です。

    
    それは、
    酒と風俗通いが楽しみな変人作家が書いた作品のため、
    エッチな話題が不自然なくらいたくさん、
    映画にも盛り込まれているから・・・
    ではありません。
    
    

    世間の常識からかけ離れて、
    飄然と生きる変態人間?の主人公に対して、
    差別や偏見のまじった視線を注ぐことなく、
    むしろ非常にフラットな眼差しで、
    結果的にエールを送るような姿勢。
    

    その寛容さに、
    何とも言えない優しさを感じるからです。
    

    
    さて。
    それはそれとして、
    追記しておきたいシーンは。

    
    主人公の北町貫太が、
    フーゾクで遊んだ女とその彼氏と3人でいるとき、
    彼氏が彼女に、サンピーをやろうと強引な誘いをかけ、
    女が嫌がって泣きだす。
    すると彼氏は、
    「なら、動物ごっこでもやろう」と提案し、
    3人で、
    ゴリラとライオンとサルの真似を始める。

    
    ピンク映画ならともかく、
    こんなシーンには滅多にお目にかかれないのだが、
    これを、エッチな行為としててきなく、
    歪んだ欲望を、
    滑稽でもの悲しい生きざまとして活写した山下監督。

    
    いや、
    これを「歪んだ欲望」と決めつけることは、
    このさい慎むのが礼節というべきだろう。

    
    
    お行儀が良く、嘘っぽい観念論から離れて、
    人間をしっかり見つめようとした山下監督たちに、
    惜しみない拍手を、ぼくは送りたい。

    
    
    
   




Posted by kimpitt at 20:11│Comments(0)
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