2012年06月01日
これもまた なんとも せつない 別れだ
5月30日の「クローズアップ現代(NHK)」は、
珍しく、映画館の問題を取り上げていた。
フィルムによる上映から、
デジタル・データによる上映が増加しつつあって、
田舎の古い映画館は、それに対応できず、
閉館を迫られている・・・というのだ。
映写機その他を最新の方式に変更するには、
1000万の資金が必要になるのだが、
それを負担しきれないとなれば、
もはや閉鎖するしか道がない・・・と。
それに関連して、去年だか今年は、
フィルム映写機を製造・販売・修理する会社が、
ついに倒産したという情報もあった。
ああああああ、あ。
ついに来たか。
この衝撃は、
DVDが、ビデオにとって代わるときのものより、
ずっと大きい。
ビデオの場合には、
手持ちの再生機が作動するかぎり、
また、
保有するビデオテープが破損しないかぎり、
「見る機会」を失うことはない。
しかし、
フィルムを上映できる映画館が閉館するということは、
フィルムでしか保存されていない名画を見る機会と、
それを鑑賞する暗闇の空間を失う・・・ということなのだ。
専門家の話によると、映画は、
デシタルデータよりもフィルムのほうが、
長期間の保存には向いていて、100年でも大丈夫。
ところがデシタルデータの保存性は未知数で、
これからやってみなければわからない・・・と。
たしかに。
CDだって、
音が飛んだり、いろいろトラブルが発生しているし、
DVDについては、
長期保存性の証明は、これからのことになる。
進歩という「技術革新」の流れは止めようもないけれど、
コストと効率の代償として、
ぼくたちは、なにを失っていくのか。
この世に、
コーラとポップコーンの匂いがするシネコンしかなくなったら、
デジタル化されたフラットな映像しか見られなくなったら、
映画文化は、どうなるのだろうか。
小便の匂いが、そこはかとなく通路に漂う、
田舎の小さな映画館。
その遠い記憶も、いずれは失われていく。
そういえば、都内ですら、
ゴザや座布団や、ソファやベンチを置いた映画館が、
昔、あったよなあ。
Posted by kimpitt at 16:20│Comments(0)