2012年05月05日
ドキュメンタリー 「第三の男の影を追いかけて」
あれは、たしか、
オランダ映画だったような記憶があります。
「四番目の男」という作品です。
監督は、あの、
ポール・バーホーヘン。
彼が、ハリウッドへ渡るまえの、
母国での最後の作品。
アポリアッツ国際ファンタスティック映画祭で、
審査員特別賞をとった作品。
これの原題は、「THE 4TH MAN」なんですが、
これを、「第四の男」という題名にしなかったのは、
きっと、あのせいでしょう。
そう、あの・・・せいです。
キャロル・リードの「第三の男」。
キャロル・リードのほかの作品は、
そんなでもないのに、
これだけは、
21世紀になっても燦然と輝く、不朽の名作。
BW映像の光と闇の芸術、
心に響くアントン・カラスのツィターの響き、
(ツイッターではありません)
巧みなストーリー・テリング、
絶妙な画像編集の冴え、
粛々とした抒情がにじむラストシーン・・・
何回見ても、わかっていても、
唖然とさせられる演出の巧さ。
戦後の荒廃したウィーンを舞台に、
男の友情と恋が、ほろ苦くからむドラマを、
アリダ・ヴァリ、オーソン・ウェルズ、
そして、ジョセフ・コットンとトレバー・ハワードが、
静かで渋い名演技。
まえおきが長くなってしまいましたが、
この「第三の男」のDVDを、
ロンドンから取り寄せました。
笑ってください。
またしても、2枚組です。
そう、懲りない2枚組。
これが、送料込みで、1300円なんだから、
買わずにスルーしたら、死んでも後悔するでしょう。
特典映像は、
90分の特別記念ドキュメンタリー・・・
「第三の男の影を追いかけて」
ヒエヒエヒエッ。
「第三の男」に、
こんなドキュメンタリーが作られていたなんて、
すごいじゃないですか。
これは、たしか、1949年の作品ですから、
もう60年以上も経っているというのに、ね。
このドキュメンタリーには、
原作者グレアム・グリーンや、
監督キャロル・リードの声も入っているし、
当時、助監督をつとめた男の回想とか、
不気味な子役の坊やを演じた男(オジサン)のコメント
なども出てきます。
1年もたたないうちに、
忘れられていくような作品しか作れない監督に、
毒をこめて?????
この作品を捧げたいものです。
映画が好きだということと、
いい作品を作れる、または、
いい作品を評価できるということは、
まったく別の次元の話なんですよ、ね。
Posted by kimpitt at 20:31│Comments(0)