2012年04月08日
EPISODE 2 ■ 集中治療室
EPISODE 2 ■ 集中治療室
生まれて初めてのICU。
手術室にいるときよりも体はすこしラクになったけれど、
まだ、上を向いたままで、
腰から下は絶対に動かさないように命じられた。
足の付け根から、心臓につながる動脈2本に、
管がいれられていて、
「それが外れたら出血して、いのちが危ない」と、
脅かされた。
しかし、痛みはないし、さしたる不快感もなく、
ぼくは、鼻唄を口ずさんでいたらしい。
看護師いわく、
「ここは集中治療室ですから、
鼻歌を歌うのは、ちょっとまずいですよ。
ご気分はいかがですか。
もし水が飲みたくなったら、呼んでください」
気分は、なにも悪くなかった。
水くらい自分で飲めるのにと思ったけれど、
飲む水も排泄する水もすべて、
その量が計測されているのだった。
そして、胸のところには、
小型のスマホくらいの大きさの計器が付けられていて、
それは、患者の居場所や身体の状況を、
逐次記録し伝える電子器具らしかった。
それから点滴。
最初は2個あったような気もするのだが、
記憶は不明瞭である。
食事は、看護師が食べさせてくれた。
というのは、
顔と手だけはすこし動かせたけれど、
胴体は固定したままで、まさに拘禁状態だからだ。
丸3日間、この状態を持続。
いま考えると、よく辛抱できたものだ。
しかし、苦しくはなかったし、
退屈したわけでもなかった。
Posted by kimpitt at 17:29│Comments(0)