2011年12月04日

RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ



 
    ほくは、
    愛を伝えられない大人・・・ではない。
    愛を伝えられないコドモだ?
    
    でも、見てしまった。
    「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」
    
    監督は、蔵方政俊、43歳。
    8年にも及ぶ助監督生活を経て、
    ようやく、初監督作品を世に出した。
    間違いなく遅めのデビューではあるが、
    実力は満点。
    
    奇を衒わず、誠実に簡潔に物語を描いて、
    まるで、映画監督術の教則本のような、
    よい作品に仕上げた。
    
    映像も美しいし、
    俳優も、いい役者をそろえている。
    これはもう、ベテラン監督の業に近い。
    
    なかでも、主役の余 貴美子。
    台詞のない伏目がちの顔まで、きちっと役になりきっている。
    脇役の中尾明慶・吉行和子・西村雅彦・岩松 了・立川志の輔。
    いずれも名助演で、うまいけれど、臭くはない。
    
    定年退職を目の前にして、
    妻に家出された男。
    その妻が、もう一度の看護の仕事をしたいというのに、
    まったく耳を貸そうともしない。
    
    そして突然の別居により、。
    二人の溝は深まるばかり。
    男は、やがて結婚指輪を公園の土手に投げ捨て、
    妻が置いていった離婚届を役所に提出する。
    
    
    三浦友和は、職人気質の運転手をよく演じてはいるが、
    いまひとつ味を出し切れていないのは、
    元イケメン・アイドルのせいかもしれない。
    
    舞台は、富山県。
    北アルプスの白い山々を背景に、
    田園を走るローカル線の姿は、
    失われつつある日本のロマンそのものだ。
    
    RAILWAYシリーズの第1作は、
    島根県を舞台にしていて、
    蔵方政俊は、ここでも助監督をつとめていたが、
    総合的にみて、
    この「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」のほうが、
    完成度が高い。
    
    それは、監督・蔵方政俊の表現技術と、
    真摯な制作態度、俳優を選ぶ目の確かさによるものだろうが、
    なによりも、
    監督自身の人間性に負うところが大きいような気がする。
    
    
    



Posted by kimpitt at 16:39│Comments(0)
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