2013年09月06日

大森立嗣は、タダモノではない  「ぼっちゃん」



 
    ギャオ!

    
    残念このうえないのですが、
    僕は、甘かった。
    もう、死んでお詫びをしたい心境です。

    
    大森立嗣は、タダモノではないと、
    前々から注目してはいたのですが、
    僕は、甘かった。
    ここまでやってくれるなんて、
    夢◎だにしなかった、
    いえ、夢想だにしなかった。

    
    
    映画「ぼっちゃん」
    断るまでもなく、これは、
    夏目漱石とは、まったく無縁です。
    

    で、見た印象を、ひとことで伝えるとしたら・・・・・
    クレージー!?
    シュール!?
    ファンタスティック?!
    ユーモラス?!
    シニカル!?
    非体制的感覚満点!?

    
    
    これはまさに、
    予期せぬ射精に似た興奮だろう。
    こうだと最初からわかっていたら、
    ちゃんと◎ンドームを付けたのに、もう!!!!!
    

    
    この映画「ぼっちゃん」の主人公のモデルになったのは、
    なにを隠そう、
    あの秋葉原事件の加藤智大クンである。

    
    しかし、大森立嗣は、
    したたかに賢く、したたかに愚かだから、
    あの事件を忠実に再現するような路線を、
    とってはいない。

    
    もともと不細工で、生きかたも不器用で、
    それゆえに職も失って、社会的に孤立した青年の、
    秋葉原へ討ち入りするまでの思想と行動を、
    ほとんどマンガチックに、
    しかし、とても笑って見てはいられない真剣さで、
    描ききった秀作!

    
    この世に生きる鬱憤を倍返しするような物語です。
    

    
    主役、つまり加藤智大クもどきを演じているのは、
    「SRサイタマノラッパー」て名を売った水澤紳吾。
    なにも知らずに彼の演技をみていると、
    「もしかしたらこの男、統合失調症かも」という疑念が、
    芽生えること必定。
    とにかく、動く生き辛さ・・・とでも言いたい名演技。

    
    監督の大森立嗣は、これまでに、
    「ゲルマニウムの夜」
    「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」
    「まほろ駅前多田便利軒」と、
    誰が見てもキチンと評価できる、
    いわば優等性的なウマさの作品で世にはばかってきた人だけれど、
    「息もできない」
    「サウダーヂ」
    といった自己主張の強い個性派の作品に触発されて、
    それまでの自分を破壊したい情動にかられ、
    この作品をつくったらしい。
    

    
    瀬々敬久監督は、
    「これこそ、やむにやまれぬ気持ちで作られた作品」
    と、絶賛しているが、まさにその通り。
    

    この映画、「ぼっちゃん」を見ると、
    ほかのすべての映画が、
    「やむにやまれる気持ちで作った、だるい作品」
    に思えてしまう。
    


    
    
    
大森立嗣は、タダモノではないと



Posted by kimpitt at 20:34│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
大森立嗣は、タダモノではない  「ぼっちゃん」
    コメント(0)