2013年05月19日

鬼才大発見   フェルディナンド・アラバール




 
    「サンタ・サングレ」
    「エル・トポ」
    「ホーリー・マウンテン」

    
    これらは、
    ぼくが愛してやまないホドロフスキーの
    傑作・怪作・秀作である。

    
    いったい、どういう人間なら、
    こういう映画をつくれるのかと、
    いまだに不思議に思う。

    
    寺山修司の作品を見ると、
    ホドロフスキーに影響されているのではないか・・・
    という邪推を否定できない。

    
    さて、じつは、この4月に、
    「ホドロフスキーに影響をあたえた」といわれる、
    フェルナンド・アラバールの幻の3作品のDVDが、
    突然、発売された。
    もちろん、日本初公開だ。

    
    
    そのうちのひとつ、
    「クレージー・ホース」を、試験的にゲットして、
    親友たちと3人で、
    ひそかに、隠微に、鑑賞したのだが、
    みんな、ぎっくり腰になりかかった。

    
    これは、
    フランス映画ということになっているけれど、
    フェルナンド・アラバールは、
    1932年に、
    旧スペイン領モロッコのメニラ生まれ。
    マドリッドの大学を卒業後、
    1952年に、
    日本でも今なお上演され続けている・・・といわれる
    名作戯曲「戦場のピクニック」を発表。

    
    その後1955年にパリに移住。
    フランス語での劇作を主とし、名声得る。
    そして、1962年に、
    ホドロフスキーらと出会い、
    「パニック芸術運動」を起こす。
    ホドロフスキーは、その後、
    1968年にアラバールの戯曲「ファンドとリス」を原作とした、
    初の長編映画「ファンド・アンド・リス」
    (日本でもDVD-BOXに収録されている)
    を監督し、
    翌年「エル・トポ」を撮影する。

    
    アラバール自身も、
    70年には映画に進出。
    まさに鬼才の名を欲しいままにしたが、
    ホドロフスキーに匹敵する、その表現方法の激しさゆえに、
    日本でこれまで公開されることはなく、
    現在にいたっていた。

    
    
    と、まえおきが長くなったが、
    「クレージー・ホース」という作品は?

    
    〔物語〕
    アデンの母親が死に、彼女の宝石類も消えた。
    そこで警察は、行方をくらましたアデンを追った。
    アデンは砂漠へと逃げ、
    そこで不思議な生活をしているマベルと出会う。
    彼はとてもピュアで、
    自然を操る不思議な能力の持ち主。
    動物たちと自由に話をし、
    昼を夜に変えることもできるのだった。
    2人は生活を共にし、友情を深める。
    そして、アデンの住んでいた場所に興味を示したマベルを連れ、
    2人は都会へと向かうのだが・・・。
    

    
    わはははは。
    こう書いても、
    この作品の過激さ、ユニークさ、猥褻さは、
    まったく理解できないはず。

    
    ということで、買って見るしかないでしょう。
    3990円。
    89分/フランス1973年作品

    
    もし、寺山修司が生きていたとしたら、
    「もう、負けたあ」つぶやいて、
    DVDを捨てて、町へも村へも行かず、
    彼は、映画制作から手を引いたと思います。
    

    
    
    



Posted by kimpitt at 21:42│Comments(0)
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