2013年04月07日
タランティーノ健在 「ジャンゴ」
苦手な監督が、ぼくにも、ある。
たとえば、北野たけし。
そして、クエンティン・タランティーノ。
彼らに共通するのは、
ある意味で無節操というか、際限のないバイオレンス描写だ。
しかし、毛嫌いしてはいるものの、
見るべきものは見なくては!
・・・・・ということで、
新作「ジャンゴ 繋がれざる者」を見た。
描かれているのは、
奴隷制度時代のアメリカの悲劇。
しかし、人権をふりかざした社会派作品でもなければ、
黒人の悲惨な運命を嘆くお涙頂戴ロマンでもない。
賞金稼ぎが目的のバイオレンス復讐劇。
いわば、悪が悪を制するマカロニ・ウエスタンである。
奴隷として引き離された妻を救いたい黒人の主人公、
ジャンゴに扮するのは、ジェイミー・フォックス。
カウボーイ姿で銃をもち、馬に跨がった彼のかっこよさ!
ニヒルでありながら、純朴さがちらつくジャンゴ!
テキサスで生まれ、大学では音楽を専攻し、
ジュリアード音楽院でピアノを学んだという
ジェイミー・フォックス。
卒業後は、コメディアンとしてスタートしたが、
しだいに性格俳優としての存在感を増し、
「RAY/レイ」で、レイ・チャールスを演じて、
アカデミー主演男優賞を獲得した男。
じつは、この役、
最初は、ウィル・スミスに話がいったのだが、
スケジュールの関係なのか、
彼は、ジェイミー・フォックスを推薦したのだという。
ジェイミーは、語る。
「10年・20年後にでも見る価値をもつ作品には、
誰だって出たがるものだ。
ハリウッドには、実力があっても良い映画に恵まれない人が、
とてもたくさんいる。
だからぼくは、とてもラッキーだった」
「ジャンゴ 繋がれざる者」の原題は、
「DJANGO UNCHAINED」、
つまり、「繋かれざる」ではなく、
「繋がれていたけれど、鎖から解き放された者」
という意味だ。
ドラマの重要な土台になっている奴隷制の真実も、
ちらちらと知ることができる秀作である。
Posted by kimpitt at 20:32│Comments(0)